その一言に、はとことこと彼の傍に寄る。
「なになに? 何か面白いもん?」
にこにこしながら言われ、バクラは笑う。
「ちげーよ。ちょっとじっとしてろ」
言いながら、制服のポケットに手を入れ、目的の物を取り出す。
きょとんとするに自分から少し近付いて、腕を伸ばした。
「え、ちょっと何?」
訳が分からない、という色の濃く浮かぶの言葉を無視して、彼女のうなじあたりで金具を留めると、制服の上で光る小さな紅い花。
「それ、やるよ」
一言言うと、そのペンダンップを指で持ち上げたは、きょとんとした顔でこちらを見る。
「何で? ばく先輩、変なものでも食べた?」
「…あのなぁ…」
ばかか、と呟いて、彼は小さく笑った。
「俺様からプレゼントなんて、もう二度とねぇぞ。有り難く受け取れっての」
「なにそれ。ばく先輩、変」
ずばり言われ、笑みは苦笑に変わる。
「嫌なら捨てとけよ」
「嫌とか言ってない。ありがと。大事にする」
嬉しそうに笑う彼女に、三千年前なら、こんなガラス玉じゃなく、本物の宝石をやれたんだぜ、とは言えなかった。
伸ばした手で頭を撫でてやればむっとしたように上目遣いで見上げてくる。
その胸元では、輝く双眸と同じ色の石が揺れていた。
ふと、古い記憶の中の少女が
顔を覗かせた。
顔を覗かせた。