エロ戦車発進
 俺は今何をしているんだろう。

 自分に対する単純かつ複雑な疑問。
 城之内克也、17歳高校生。
 両手にある感触は、柔らかく心地よいもの。
 しかし心は警報を鳴らす。
 早く逃げろと大きなサイレンは心臓の音に変わって彼の中を駆け巡る。
 なのに動かない身体。
 むしろ動きたくない身体。
 理性よ戻ってこい!
 彼は心の中で叫んだ。

 そして同時に降ってくる冷ややかに響く静かな声。

「君は何をしてるのかな、城之内くん?」

 声が、出ない。
 ゆっくり顔をあげると鳥肌が立った。
 伸びてきた彼女の細い腕が、彼の首に触れた。

「と…ッ!!」
「黙れ」

 言い訳は却下。同時にの指に力が込められ、彼はひしゃげたような声を出す。

「その両手は私の乳を揉むためにあるのかな? ん? 違うよねぇ?」

 違います、の答えに頷いたは、指に込めた力を抜く。

「エロ戦車爆殺」

 低く言い放たれた言葉に続いて、彼女の右足が城之内の股間にクリーンヒット。
 呻く彼に、思い知れ、と言い捨てて彼女は去った。

本当に事故だったんだ。
エロ戦車まさかの作戦ミス!

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