盗賊王先輩
 これやるよ、と差し出された、湯気のあがる焼き芋。

「うっわ、何これ、どうしたの!?」

 迷わず受け取って相手を見上げる。

「あー、裏庭で焼いた」

 戻ってきた答えは予想通り。

「ばく先輩、ふりょー。火遊びはいけないんだー」
「あん? ならそれ返しやがれ」
「やだ。冗談。ごめんなさい」

 笑って言うと、彼も夕闇の瞳を細めて笑った。

「冷めないうちに食えよ」

 全く、この人はこういう顔をするとまるで年下のようだ。

「いただきまーす」

 ふたつに割った芋は黄色くてほくほくで、ひとくち頬張るとあったかい幸せが心と身体に満ちていく感じ。
 思わず顔は最高の笑顔。

「んまー!! この芋うまい!!」
「おー、なら良かった。どんどん食え」

 満足そうに笑うばく先輩に大きく頷いて、私はまたひとくち焼き芋を頬張った。

ところでこの芋、
どこから調達してきたのかしら?

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