近所迷惑な叫び声と共に遊戯のもとへ転がるようにしてやってきたアテム。
「な…何かな、もう一人の僕? なんかもうすでに凄く嫌な予感がするんだけど…」
困ったような笑顔の遊戯にしがみつくようにしてアテムは言った。
「一体俺のどこが悪いって言うんだ!?」
「誰も君が悪いなんて言ってないけど…どうしたの?」
「どうせ中間赤点とかでしょ?」
アテムを引き剥がしながら優しく問い掛ける遊戯の後ろで、いちごみるくを飲みながら言う。
呆れたようなその口調は、アテムの成績が普段からさほど良くない事を知っているから。
「それは違うぜ!!」
しかしアテムは立ち上がり彼女を見る。
「って言うな。つか何が違うのさ。ちょっと見せてごらん」
言うや否やはアテムの手からくしゃくしゃに握り締められた解答用紙を取り上げた。
「なぁにこれぇ」
「うっわ、シルバーやばいって」
解答用紙を見たと遊戯は口々に言って可哀相な人を見る目でアテムを見る。
「何で全部ヒエログリフなの、これ」
「俺の国語は古代エジプトだぜ」
「君、今まで一年間、ずっと象形文字で答え書いてたの?」
「もちろん、それが俺のポリシーだぜ相棒」
なぜか胸を張って答えるアテム。
は遊戯の肩に手を置いた。
「遊戯、悩みがあったら言ってよ。力になるから」
「…うん、ありがとうちゃん。じゃあ早速聞いてほしい事があるんだ…」
力無く微笑む遊戯は、と共にアテムに背を向けて歩きだす。
「え、ちょ、相棒!? どこに行くんだ相棒!! 相棒ぉぉぉぉぉぉ!!」
アテムの叫び声は見事なまでに無視された。
それは、
彼の進級不可が決定した日。
彼の進級不可が決定した日。