それと共に授業は終わり、教室のいたる所で机がよせられ、生徒達は弁当を広げる。
それは彼女たちにとっても例外ではなく…
「あー、やっと飯だよ、ご飯だよ」
「これで午後の授業が自習になれば文句無いんだけどねー」
「も杏子も、今日はなんだかお疲れね」
くすくす笑いながら言うキサラに、は弁当を開けながら「当たり前だよ」と言い返す。
「今日は金曜、1週間の終わり!! 疲れも出るっつぅの!………って母さぁーん!! こりゃ無いだろ!!」
叫ぶように言われた言葉の後。
キサラと杏子がのぞき込んだの弁当。
「ロールパン…」
「と、たくあん…? 、これって何かのジョーク?」
不可解な顔の杏子に、肩を落としたは首を横に振る。
「多分、母さんがめんどくさかっただけ」
「…週末…だから?」
「さぁっすが杏子、あったまいー」
そう言う彼女の声には、全く覇気が感じられなかった。
不憫に思ったのか、キサラがおかずを差し出す。
「、好きなの取って?」
卵焼き、ウィンナー、野菜炒め、プチトマト…きらきら輝く彼女の昼食はまさに理想的な……
「キサラぁッ! 今日の昼食は俺と共に食べるんだーッ!! ふははははははは!!」
「私の美しい昼休みを汚すな海馬!!」
「む、…! 貴様こそ、その場を去れ! キサラには俺の連れてきた一流シェフの用意した一流のランチを今から食べてもらうのだ!! さぁキサラ、調理室へ行くぞ!!」
間髪入れずに言い返し、海馬は腕を組んでキサラを見下ろす。
それは、どう控え目に見ても彼がキサラを睨み付けているようにしか見えない。
「って言うか、海馬君って今日学校休んでなかった?」
杏子は首をかしげているが、海馬はふん、と笑うとさも当然のように言った。
「キサラと昼食を採るために昼だけ出てくることにしたのだ」
「うざ」
「口を謹め、。貴様の前にいるのは海馬こーぽr」
「お前が黙れ」
最後まで言わせず、はキサラと杏子を見た。
「私、ちょっと調理室行ってくるね」
「へ? あ、うん」
突然の海馬瀬人の出現にぽかんとしていたキサラは、慌て頷く。
「よかったね、、海馬君にお昼おごって貰えて!」
満面の笑みで、海馬とを見た。
「ほんっと、海馬タイミングいいよねー! 私のためにわっざわざ一流シェフ連れて昼休みに学校まで来てくれるなんて!!」
にやりと立ち上がりながら、は海馬を見る。
「貴様、何勘違いしている! 俺は…」
「さぁ、行こうか海馬君?」
怒りに顔を引きつらせた海馬の腕を取り、にっこり笑う。
「…、目が笑ってない」
ぼそりと杏子。
その視線の先には恋人よろしく海馬と腕を組んだと海馬。
この世の終わりのように激しく嫌悪の表情を浮かべた海馬。
全然笑ってない目で彼を見ながら、笑みを浮かべた顔で再びは言う。
「行こうか、海馬君?」
大事な事なので二回言いました。
「あっ、早くしないと昼休み終っちゃうー」
「黙れ!! 誰が貴様などと貴重な時間を過ごしたりなど…な゛っ、何処へ行く!! ふざけているのか!! 俺はキサラと…!!」
明らかにわざとらしい口調のは、海馬を引きずりながら教室を後にした。
遠ざかる海馬の声を聞きながら微笑んで、キサラは卵焼きを口に運ぶ。
「と海馬君って、仲いいよねぇ」
「…キサラって最強だよね」
ベーコンアスパラをつつきながら、ひときわ疲れたように、杏子は言った。
今日のランチ
牛フィレ肉のフォアグラソース
有機野菜のポタージュ
完熟マンゴーのジェラート
牛フィレ肉のフォアグラソース
有機野菜のポタージュ
完熟マンゴーのジェラート