「なぁ、ー」
「って言うな、ばか」
私の名前は、はっきり言って若干ださい。
そもそも名前をつけてくれた今亡きじい様が尊敬する彼の祖母の名前を選んだのだから、仕方ないのかもしれないけど。
「いいじゃんかよ、別に」
「るさい、克也。私は昔から名前で呼ばれるのは好きじゃなかった。中学の間に忘れた?」
「…あー、それって、重要か?」
「当たり前よッ!!」
もっと可愛くて今っぽい名前で呼んでほしいっていう乙女の祈りは儚くも大きいんだから!
これだから男ってやつはわかってないのよ!!
「あのねぇ、克也…」
「ーッ! 帰りましょう?」
言ってるそばから、私の名前を呼んで腕を取ったのはキサラだった。
「あ、待たせた?」
「ううん、大丈夫。は…城之内君とお話し中?」
まばたきするキサラに、ううん、と首を振る。
「ぜーんぜん。こんな奴ほっといていいんだから。行こ、キサラ」「うん。あ、城之内君、ばいばい」
律儀に克也にまで手を振るキサラ。
我が友ながら、ほんといい子だなぁ…
まじ癒されるわ。
そういや私
何の話題で言い合ってたんだっけ
何の話題で言い合ってたんだっけ