アキちゃん
 遊星に手料理を食べさせたい、と言うアキがの家にやって来たのはとても急で。
 いくら男所帯とは言え、今までずっと自炊してきた遊星は、色々ありながらも一応一人娘として育ってきたアキよりも確実に料理が上手く、そして意外とレパートリーも多かったりする。
 今までは双子やジャックと一緒に遊星や、時にはクロウの作る料理を食べていたアキなのだが。

「急にどうしたの、アキちゃん? この前まで後片付け専門だって言ってたのに」

 目を丸くするに、アキは少し恥ずかしそうに頬を染める。

「笑わないでよ?」

 そう前置きをして、話し始めたのは、クラスメイト達との他愛無い会話。

「皆、一度は好きな男子や恋人にはお弁当や手料理を作って食べてもらうって……」

 しかし、遊星はアカデミアの生徒でもないし、料理も普段から自分で作っている。

「それに私、料理の作り方なんて知らないから……は料理も上手いし……」

 そう言うアキの表情は、恋する乙女そのもの。
 ああ、春だなあ。
 は思わず笑みを浮かべてアキの手を取る。

「任せて、アキちゃん! 遊星くんの腹がはち切れるまで美味しい料理食べさせよう!!」
……! ありがとう!!」

 けれど、遊星の腹がはち切れるのは困りモノだわ。
 その言葉は胸に留めて。
 によるアキへの料理教室が始まった。

あのね、肉じゃががいいの。

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