76話感想
 彼が帰宅すると、そこにはいつもの二人の他にもう一人、良く知る女がいた。

 そしてテーブルの上には普段の質素なものとは程遠い豪華な食事。
 大きなケーキに赤飯、鯛のお造り。更には伊勢海老の頭ののぞく味噌汁。ケーキに至っては『おめでとうジャック』と書いたプレートが乗っている。
 遊星とクロウは和食はあまり得意ではないため、それらの料理を作ったのは女――であるとすぐに解る。
 はて、今日は自分の誕生日だっただろうか。
 否。
 誕生日なんてずっと先だし何かめでたい事があった記憶もない。
 なのに彼ら三人は一体何を祝っているのだろう。
 首を傾げる彼に笑顔のが口を開いた。

「おめでとう、ジャックくん!」
「何がだ、

 訝しんで答えると、は何言ってるの、と続ける。

「今日、やっと満足同盟以外にお友達ができたって、遊星くん達から聞いたのよ!」

 その言葉に、風馬という名のセキュリティの青年の顔を思い出す。

「よかったな、ジャック」
「これでお前もまた一歩成長できたんじゃねぇか?」

 遊星とクロウが口々に言う。

「本当、心配してたんだから。ジャックくんてばお友達もいないのに仕事も無いし、社会に馴染めないんじゃないかって」

 心から嬉しそうなの言葉に目眩を覚えた。

社会に馴染めないんじゃない。
社会が俺に追い付けないんだ!

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