そしてテーブルの上には普段の質素なものとは程遠い豪華な食事。
大きなケーキに赤飯、鯛のお造り。更には伊勢海老の頭ののぞく味噌汁。ケーキに至っては『おめでとうジャック』と書いたプレートが乗っている。
遊星とクロウは和食はあまり得意ではないため、それらの料理を作ったのは女――であるとすぐに解る。
はて、今日は自分の誕生日だっただろうか。
否。
誕生日なんてずっと先だし何かめでたい事があった記憶もない。
なのに彼ら三人は一体何を祝っているのだろう。
首を傾げる彼に笑顔のが口を開いた。
「おめでとう、ジャックくん!」
「何がだ、」
訝しんで答えると、は何言ってるの、と続ける。
「今日、やっと満足同盟以外にお友達ができたって、遊星くん達から聞いたのよ!」
その言葉に、風馬という名のセキュリティの青年の顔を思い出す。
「よかったな、ジャック」
「これでお前もまた一歩成長できたんじゃねぇか?」
遊星とクロウが口々に言う。
「本当、心配してたんだから。ジャックくんてばお友達もいないのに仕事も無いし、社会に馴染めないんじゃないかって」
心から嬉しそうなの言葉に目眩を覚えた。
社会に馴染めないんじゃない。
社会が俺に追い付けないんだ!
社会が俺に追い付けないんだ!